新規プロダクトを考えるときに役立つ5つのワークショップ~アイデア出しからイメージ共有まで

はじめまして、テックドクターのプロダクトデザイナー、庄司です。テックドクター初のデザイナーとして今年1月に入社し、現在は主に新規プロダクトのUXデザインやUIデザインを行っています。

みなさんの組織では、新しいプロダクトやサービスを考えるとき、どうやってアイデアを出していますか?また、出たアイデアをより具体的にしたり、チーム内でそのイメージを共有するためにどうしていますか?

私はテックドクター入社以前も、大人の女性向けファッションメディア、従業員の心身のケアを行うHR系プロダクト、医療スタートアップにてビデオ診療モジュールのデザイン、医師の勤務のためのアプリ...などなど、さまざまな組織や新規事業において、一人目デザイナーとしてサービスのゼロ→イチの開発に携わってきました。

その経験を踏まえて、この記事ではプロダクトを考え、デザインするためのワークショップを紹介します。

これらはテックドクターでも、現在開発中のプロダクトの立ち上げにあたり実際にチーム内で実施したものです。
今回はオンラインツールのfigjamを用いてハイブリッド形式で行いましたが、ホワイトボードでワイワイやるのも楽しいと思います!


ソリューションを考えるワークショップ

ワークショップ画面
※実際のワークショップのキャプチャのため文字をマスクしています。雰囲気をつかんでいただければ幸いです。

目的

新しいプロダクトを構想するにあたって、まず想定するユーザー(ペルソナ)が抱えている課題や不満(ペイン)を洗い出して明らかにします。
さらに、そのペインに対してどのようなソリューションが考えられるか、アイデアを出し合いながら言語化していくことを目的としています。

手段
  1. まずはペインをガンガン出し、付箋に書いて貼っていく(5分)
  2. 皆で見ながら似たものをグルーピング、余力があったら時系列に並べ替える(15分)
  3. ソリューション案をガンガン出す(5分)
  4. 紐づくペインの付箋の下に、出したソリューション案を動かす。こちらも似てるものはグルーピングしたりする。特に直接的に紐づくものは線で繋ぐとわかりやすい。(15分)
  5. いろいろ話しながら調整したり、追加で思いついたものを足したり、マストっぽいものに印を付けたりなどする。(残った時間)
進め方のコツ
  • ペインを出す上で、一般的なものよりはペルソナに限りなくフォーカスしたものを出すように考えてみる
  • 似たような内容の案も、言葉の表現が違えば解釈が変わり新たなアイデアにつながることもあるので、とにかく書いてみる
やってみて

ふんわりとしたイメージでしかなかったペインが言語化され、具体的な機能を考えていくためのひとまずの指標となりました。
また、着目点が人によって異なることを知ることができました。例えば、Aさんは物事の過程に対してペインが多くあると考える傾向があるのに対し、Bさんは結果としてのペインに注目している、というようなことです。


イデア出しのワークショップ

ワークショップ画面

目的

サービスの方向性をさらにはっきりさせるためのワークショップです。また言葉をたくさん出すことでサービス名のアイディアがひらめくきっかけにもなります。

手段
  1. サービスに関連する言語や類語をたくさん出す(1h前後〜、ワーク前にやっておく)
  2. グルーピングする(5分前後〜、ワーク前にやっておく)
  3. 共有・ディスカッション(30分)
進め方のコツ
  • 事前には類語や例をとにかく沢山出しておく
  • あくまでアイディアをたくさん出すことを目的とする。特に何かを決めることはせず、「この辺りの意味合いは違う気がする」「この単語は好き」など自由にディスカッションし、共通の認識を探るのが目的です。
やってみて

これが直接的にアウトプットにつながるというよりは、サービスを表す言葉・概念を見つけ出す(意識しはじめる)きっかけになったように思います。
そうすることで、次に紹介する「サービスの人格を考える3つのワークショップ」にスムーズに進むことができます。


サービスの人格を考える3つのワークショップ

次にご紹介する3つのワークショップは、過去にコーポレートブランディングの一貫としてやってきたものの応用です。
ブランドを人に例えたとき、「どんな性格なのか」「どんな振る舞いをするのか」を明文化し、人格の方向性を皆で共有するためのワークショップです。
それを今回は企業ではなく、「プロダクトの性格を考える」ためにやってみました。

3つを通した目的

チームメンバーが同じものを見て同じ方向を目指して開発していけるように、まずはプロダクトの世界観をすり合わせます。その中で「このプロダクトって、どんな性格なんだろう?」ということも言葉にしていきながら、チーム全体で共通のイメージを持てるようにします。
3つのワークショップはひとつだけ実施しても効果がありますが、すべて実施するとよりイメージが具体的になります。今回は3つとも実施しました。


ディメンションフレームワークの活用

ワークショップ画面

手段
  1. ブランド(ここではプロダクト)を表す単語を3〜5個書き出す(5分)
  2. 1.で出した単語たちがそれぞれディメンションフレームワーク(誠実/刺激/能力、適性/洗練/頑丈)で定義されている5つの属性のどこに当てはまるかを考える(5分)
  3. 共有・ディスカッション(7分)

※ディメンションフレームワークについてはこちらの記事などを参考にしてください
ブランドの個性を定める – ブランドパーソナリティー【ブランディング入門#5】 - デザイン会社 ビートラックス: ブログ freshtrax


ビッグファイブ理論の応用

ワークショップ画面

手段
  1. ビッグファイブで定義されている5つの属性(外向性/協調性/勤勉性/情動性/創造性の、それぞれどこの性格にプロダクトがあてはまるかをそれぞれ考える(5分)
  2. 共有・ディスカッション(7分)

※ビッグファイブ理論についてはこちらの記事などを参考にしてください
ビッグファイブとは?5つの性格特性と心理テストを紹介 | 社員研修のアチーブメントHRソリューションズ



アーキタイプフレームワークの活用

ワークショップ画面

手段
  1. プロダクトがアーキタイプフレームワークで定義されている属性の、どこに存在するのが理想的かを考え、一人5票を投票する。一番ふさわしいと思う箇所に5票全て入れてもいいし、ばらけてもいい(7分)
  2. 共有・ディスカッション(7分)

アーキタイプフレームワークについてはこちらの記事などを参考にしてください。(ディメンションフレームワークのところで挙げた参考記事と同じです。両方について書かれています)
ブランドの個性を定める – ブランドパーソナリティー【ブランディング入門#5】 - デザイン会社 ビートラックス: ブログ freshtrax

3つをやってみて

共有・ディスカッションの時間には、おのおの「自分がどうしてそこの場所を選んだのか」を共有しました。そうすることで「それぞれが勝手に描いているプロダクト像」が「みんなの共通の知り合いのイメージ(=プロダクト像)」になっていくような感覚を得られました。
結果的には大まかなイメージに相違がないことが確認できましたが、それと同時に、細部で違う部分があることも可視化されました。そこに対して突っ込んで話を聞いていくうちに、個々の思い入れやこだわり、好みの違いが見られて興味深かったです。

最後に

最後に、これらのワークショップ全体を通して大事にしていたことを紹介します。ワークショップの前に以下の2つを参加者に伝えました。

  • 一度書いてみて、これはナシかな〜と思っても削除せず、思考の発露としてどこかに場所を作って取っておく(後で何かのヒントになるかわからない、自分はイマイチと思っても他人にとっては気付きだったりする、等の理由)
  • 発言数が多いからえらい、少ないからダメとかいうことではない。参加することそのものが大事!ということ

プロダクト開発の最初期、その方向性やサービスを考え決めていく段階で、具体的にどんなことをすればいいのかという情報はあまり無い気がするので、今回記事にしてみました。

参考になったら幸いです。

似顔絵
書いた人:庄司