はじめまして、バックエンドエンジニアの伊藤です。
9月に開催されたPython のカンファレンスイベント「PyCon」に、テックドクターのバックエンドエンジニア3人で参加してきました。
今回はその体験記として、イベントの様子や気になった発表などをレポートします。
PyConとは
PyConについて、公式サイトではこのように説明されています。
PyCon JP は、Python ユーザが集まり、Python や Python を使ったソフトウェアについて情報交換、交流をするためのカンファレンスです。 PyCon JP の開催を通じて、Python の使い手が一堂に集まり、Python にまつわる様々な分野の知識や情報を交換し、新たな友達やコミュニティとのつながり、仕事やビジネスチャンスを増やせる場所とすることが目標です。
PyCon JP 2024 より引用
ひとことで言えば、Pythonにまつわる情報を共有することがメインのイベントです。具体的には大きく2つの要素で構成されます。セッションとスポンサーブースです。
セッション
Pythonユーザーによるスライド発表です。Pythonにまつわるノウハウや活用事例、課題解決や関連ツールの紹介など、多岐にわたる発表があります。
1つのセッションは時間にして30分ほど。登壇者はセッションは4つの会場で並行して行われるため、効率的に情報収集するためには事前にタイムテーブルを見ておき、会場を移動しながら興味のある発表を聞くのがおすすめです。発表資料の一部がこちらに掲載されていますので、今回参加できなかった方もどんな内容か知ることができます。
スポンサーブース
スポンサーブースは、PyConに出資したスポンサー企業が自分たちの魅力を紹介するためのブースです。こちらはセッションとは違い常設ブースとなっており、PyCon参加者は誰でも立ち入ることができます。ノベルティを配っている企業も多く、お祭りの屋台のような形で楽しめました。
PyConに参加した目的
今回は個人的な参加ではなく、テックドクターの社員として、2つの目的でPyConに参加しました。
ひとつはほかの参加者の皆さんと同じく、Pythonについての理解を深めることです。
もうひとつは、スポンサー協賛の検討です。テックドクターでは日頃からお世話になっているPythonのコミュニティ発展に貢献するため、PyConへのスポンサー協賛を検討しています。PyCon自体の雰囲気を知ることと、スポンサーになるとどのようなことが行えるのかなど検討材料の収集を行いました。
良かったセッション
テックドクターからは私(伊藤)以外に、星野、魚木が参加しました。二人とも私と同じバックエンドエンジニアですが、それぞれPythonの経験年数は違います。またPyConは3人とも初参加でした。ここでは今回は私と星野が選んだ、良かったセッションをご紹介します。
伊藤(Python経験 7年)の印象に残ったセッション
「MLOps in Mercari Group’s Trust and Safety ML Team」
発表者等: Calvin Janitra Halim, Ayato Toyokuni(株式会社メルカリ)
メルカリさんのMLOpsのアーキテクチャについての発表です。
最近テックドクターでも機械学習モデルの本番利用に向けたシステムの構築を行っており、試行錯誤しながら進めている段階のため、非常に参考になるセッションでした。
アーキテクチャ図がふんだんに用いられていることで、複雑な構成も視覚的にも論理構造的にもわかりやすく、参考にしやすいと感じました。また英語での発表だったものの、図のおかげで理解しやすかったです。
弊社のアーキテクチャはよりシンプルな作りでも問題ないはずですが、先人の事例と比較することで方向性が大きく間違っていないことを確認できたのは、大きな収穫でした。(伊藤)
「あなたのアプリケーションをレガシーコードにしないための実践Pytest入門」
発表者:fujine (みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 先端技術研究部)
Pythonに限らずテスト全般の内容が幅広く含まれた発表でした。テストをあまり書いたことがない人でもわかりやすかったのではないかと思います。
導入部の切り口も面白く、「レガシーコードとは」から始まる冒頭にまず興味を惹かれました。その後、データベースや時刻処理などのありがちなテストパターンにどう対処するかについて詳しく解説され、実践的なケースに対する理解が深まりました。
また、Pytestの小技も紹介され、今後テストを作成する際に参考になりそうな内容でした。Pytest初心者の私にとっては、今後使うであろうトピックスがまとまっており学びが多かったです。(星野)
全体の感想
個人としてもテックドクターとしても初のPyCon JPへの参加でしたが、まずは参加すること自体が楽しいイベントだと思いました。星野からも「久しぶりのテックカンファレンスで純粋に楽しかった」というコメントがありました。
セッションはここでは2つだけご紹介しましたが、それ以外にも良いものがたくさんありました。全体の傾向としては、Python初級者から中級者向けの発表が多かったように思います。(あくまで推測ですが)Pythonの利用用途が広範囲になっているので、間口を広くとるために初学者向けのセッションを多くしたのかもしれません。
カンファレンスイベントに敷居の高さを感じる人もいるかもしれませんが、少なくともPyConは、Pythonを使いはじめたばかりの人が気軽に参加しても得られるものが多くありそうです。
上級者が参加する場合は、初心者向けのセッションに当たって物足りない思いをしないように、あらかじめタイムテーブルを見て自身のレベルにあったセッションを選んでおくとより効率的な情報収集を行えそうです。
スポンサー出展について
将来的な出展を意識してスポンサーブースを回ってみると、単にノベルティをばらまくのではなく、ブースの方々が来場者を飽きさせないように配布方法やタイミングなどいろいろと工夫されていることがわかり、面白かったです。
また、何を目的にスポンサーをするのかで、どこに重きを置くのかが変わってきそうだと感じました。
例えば会社の知名度を上げたいという目的であれば、豪華なスポンサーブースを作るよりも、セッションに何人か登壇する方が結果として印象に残りやすいように思います。
まとめ
来年のPyCon JPは広島での開催だそうです。今回の体験を踏まえて、実際にスポンサーをするのか検討していきたいと思います。
運営事務局の皆さん、発表者・出展者の皆さん、楽しく役に立つカンファレンスをありがとうございました。
書いた人:伊藤